<前期>倫理学の授業

 


■ 第1回 導⼊、現代社会の諸問題
 この授業で何を学ぶのか、授業の全体像を把握します。授業の進め方、成績評価の方法・基準についても確認します。第2回目以降の授業への導入として、現代社会の諸問題について視聴覚資料を交えながら学修します。

 授業を受ける前にシラバスをしっかり読んでから出席しましょう。また、授業に出席する際にはシラバスを印刷して持参するか情報端末でシラバスが確認できる状態にしておきましょう。授業の前後に柘植尚則『プレップ倫理学 増補版』弘文堂、2021年を読んでおけば、第2回目以降の授業を効果的に受けられるとともに授業全体を通して理解が深まるでしょう。

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■ 第2回 メディア・リテラシーから考える情報倫理
 私たちの身のまわりにはたくさんの情報があふれかえっています。ネットはさながら情報の海で、検索すればあらゆる情報が手に入るかのように思われがちです。最近では、新聞、雑誌、テレビのことを〈マスゴミ〉などと揶揄し「ネットにこそ真実がある」と言ってはばからない人も少なくありません。では、私たちはどのようにして正しい情報と正しくない情報とを見分けることができるのでしょうか。また、私たちが現に手にしている情報が正しい情報であると何をたよりに言えるのでしょうか。

 第2回の授業では、私たちが情報検索するなどして情報を得る際に気をつけるべき要点を確認し、不正確な情報に基づいて誤った信念を形成したり不正確な情報を再拡散したりしないための知識と技術を習得します。
す。

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■ 第3回 ネットで加害者、被害者にならないための情報倫理
 世の中には正義感をもった人がたくさんいます。ただ、正義感からおこなわれた行為が必ずしも正義に適っているとは限らず、不正義や悪であることも少なくありません。最近では義憤や正義感にかられてネットに投稿したことが、誰かの権利を侵害したり場合によっては誰かを死へ追いやったりすることまで発展し、悪を懲らしめていたつもりがいつのまにか悪になっていたという事例をよく目にするようになりました。

 第3回の授業では、ネットで加害者や被害者にならないために私たちが気をつけておくべきことについて学修します。

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■ 第4回 報道倫理(メディア・エシックス)
 情報社会の発展にともなって、報道のあり方も変化してきました。新聞、雑誌、ラジオ、テレビといったマスコミだけでなく、SNSなどを活用した個人もマスコミと同等かそれ以上の影響力を社会に対して及ぼすようになりました。いま報道のあり方が大きく問われています。今回の授業では具体的な事例に即しながら報道がどうあるべきなのか、報道倫理ついて学修します。

 授業の前後に梓澤和幸『報道被害』岩波新書、2007年を読めば理解が深まるでしょう。また、メディア・リテラシーの入門書として、森達也『たったひとつの「真実」なんてない――メディアは何を伝えているのか?』ちくまプリマ―新書、2014年もこの回までに読んでおくことが勧められます。

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■ 第5回 BLM運動から学ぶ倫理学
 2020年5月2日、米国で黒人男性が警察官の不当な拘束により死亡させられた事件をきっかけにBLM運動が起こりました。この運動はまたたく間に世界へ広がり日本でも各地でデモが行われましたが「なぜ(黒人)差別のない日本でデモをするのか」や「BLM運動は略奪や破壊行為を目的とした暴力的な集団が主導するものだ」といった反応がSNSを中心にありました。被害者を非難するような言説も見受けられました。

 BLM運動は、運動そのものだけでなく、運動が引き起こした反応も含めて私たちに多くのことを考えさせてくれます。第5回の授業では、BLM運動を手がかりに倫理学的な考え方を学修します。

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■ 第6回 何が問題かわからないことの何が問題なのかを考える
 私たちが抱く素朴な自然観、あるいは素朴な疑問は差別や偏見であることが少なくありません。素朴であるがゆえに当人にとっては差別や偏見をもっているという意識がなく、また誰かから指摘をされても何が問題なのかわからないということがしばしばあります。

 第6回の授業では、差別や偏見となるものの見方や認識について考察し、何が問題かわからないことの何が問題なのかを考えます。

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■ 第7回 ジェンダー・ギャップ指数から考える正義論
 世界経済フォーラムが2021年3月に発表したジェンダー・ギャップ指数2021で日本は156か国中120位でした。これは先進国では最低水準で、中国(107位)や韓国(102位)などアジアの主要国と比べても一段と低い順位となっています。

 第7回の授業では、ジェンダー・ギャップの大きい日本とそうでない諸外国の現状について概観した上で、ジェンダー・ギャップの開きがなぜ問題になるのかを正義論の観点から学修します。

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■ 第8回 私たちはどこまで世界の貧困と向き合うべきなのか?
 世界の貧困について私たちはどのような態度をとるべきなのでしょうか。私たちは国内の貧困をなくすまで、あるいは国内の生活水準をある程度向上させるまで、世界の貧困対策にお金を出すべきではないのでしょうか。そもそも世界に存在する貧困は果てしなくどれだけ支援をしても焼け石に水なので、世界の貧困対策にお金を出すよりももっと別のことにお金を使った方がよいのでしょうか。以上のような問題について、倫理学の見地から考えます。

 授業の前にピーター・シンガー(児玉聡、石川涼子・訳)『あなたが救える命――世界の貧困を終わらせるために今すぐできること』勁草書房、2014年を読んでおくことが強く勧められます。

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■ 第9回 環境倫理学1――気候変動、⽣物多様性
 気候変動、生物多様性は環境倫理学の代表的なテーマであると同時にグローバルな倫理的問題でもあります。気候変動、生物多様性についての議論を概観し、どのようなことが倫理学的に議論の対象となるのかを学修します。

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■ 第10回 環境倫理学2――世代間倫理、⼈間中⼼主義
 化石燃料、大気、水、生物多様性などは、ある意味で私たちが祖先から受け継いできたものです。これらを私たちは自由にしてもよいものなのでしょうか。また、私たちが豊かな暮らしを享受するために出したごみを、次世代以降に押しつけてもよいものなのでしょうか。このように、まだ存在しない将来世代と現在世代のあいだでも倫理的関係が成り立つという考え方を世代間倫理と言います。

 ところで、世代間倫理という考え方を受け入れるとしても、私たちが人間の立場から考えていることに変わりはありません。このような考え方を人間中心主義と呼びます。これに対し、人間の立場から離れて自然そのものに価値があるという考え方(非人間中心主義)もあります。

 今回の授業では、「世代間倫理」「人間中心主義」というキーワードをもとに環境倫理学上の諸問題について学修します。

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■ 第11回 安楽死・尊厳死
 国内外の安楽死・尊厳死をめぐる歴史を概観した上で、安楽死・尊厳死に対する倫理学的な考え方を学修します。授業の中で尊厳死に関わる映像資料を視聴します。

 授業の前後に柘植尚則『プレップ倫理学 増補版』弘文堂、2021年の第1章「倫理学とは」、第10章「医療」を読めば授業の内容についていっそう理解が深まるでしょう。

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■ 第12回 脳死・臓器移植
 日本では1997年から臓器の移植に関する法律(通称、臓器移植法)のもとで脳死者からの臓器移植が行われています。ところが、脳死を判定するための手続きは、そもそも脳死であるかどうかまだ確定していない患者にとってはリスクがあるだけで利益が一切なく、脳死がどのようなものなのか、遷延性意識障害(植物状態)との比較で確認した上で、日本における法制上の要点にも触れながら、脳死・臓器移植に対する倫理学的な考え方を学修します。

 授業の前後に霜田求(編著)『テキストブック 生命倫理 〔第2版〕』法律文化社、2022年の第10章「脳死と臓器移植」を読めば、授業の内容についていっそう理解が深まるでしょう。

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■ 第13回 ⽣殖に関する倫理学
 人工授精、体外受精、卵子提供、代理母、着床前診断、出生前診断、人工妊娠中絶など、生殖に関する医療・技術は挙げ始めるときりがありません。こうした医療・技術は、私たちの生殖に関する深刻な悩みを解決してくれるかもしれませんが、ときに重大な倫理的問題を引き起こします。この回の授業では、生殖補助医療にはどのようなものがあるのか概観し、それらについてしばしば指摘される典型的な倫理的問題を確認します。

 授業の前後に霜田求(編著)『テキストブック 生命倫理 〔第2版〕』法律文化社、2022年の第4章「生殖補助医療」、柘植尚則『プレップ倫理学 増補版』弘文堂、2021年の第1章「倫理学とは」、第10章「医療」を読めば授業の内容についていっそう理解が深まるでしょう。

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■ 第14回 着床前診断、出⽣前診断、⼈⼯妊娠中絶
 胎児に何らかの障害がある(かもしれない)ということが、妊娠している女性にとって中絶を決断するきっかけとなることがあります。この決断をするまでの過程でパートナーや家族の意見が影響をおよぼすこともあれば、妊娠している女性を取り囲む社会の状況が影響することもあるでしょう。では、胎児に障害があるという理由で中絶を決断することは、何か倫理的問題を引き起こすのでしょうか。受精卵、胎児、母体などを検査して胎児に障害があるかどうかを調べることや、そうした技術を開発して世に出していくことには何か倫理的問題があるのでしょうか。たんに望まない妊娠であるという理由で中絶をすることに何か倫理的問題はあるでしょうか。今回の授業では、人工妊娠中絶に関連する倫理学上の議論を学修します。

授業の前後に霜田求(編著)『テキストブック 生命倫理 〔第2版〕』法律文化社、2022年の第5章「人工妊娠中絶と出生前診断、着床前診断」を読めば授業の内容についていっそう理解が深まるでしょう。

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■ 第15回 まとめ、全体のふり返り
 これまでの授業をふり返り、各回の授業が全体としてどのようにつながっていたのかを確認します。また、成績評価の方法・基準についても再確認します。これまでの授業で十分に理解できなかったことなどを質問する時間もあります。

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